「勉強しなさい」と我が子に声をかけるのが習慣になってしまっていませんか。
この声かけが習慣化してしまうと、99.9%、満足に勉強することはありません。
少なくとも、自分から勉強に向かう姿勢がない状態からのスタートになっていて、「やり方が分からない」などと言ったもっともらしい理由を言ってみたり、なんとなくやっている風味を出してなんとか逃れようとする。
このこと自体は子どもを責めることはできません。この声かけループに入ると、私もそうなるでしょうし、勉強しないのはごくごく自然な流れだと思います。それで勉強し始めるならそんな楽なことはありませんね。
かと言って、あまりの怠惰ぶり、低迷している成績にしてその気楽さはなんだ!?と、言わずにはいられないお気持ちも痛いほど分かります。私とて、だいぶこの仕事にも慣れてきて多くの子どもを見てきて、この2年ほどでひとつ悟りを開けた心地があってなお、思いっきり怒鳴り飛ばしたくなることもしばしば(限りなくsometimesに近いoften)。
この場合、大人のそういう声かけは響くどころか大抵は逆効果ですから、アプローチを変えていきましょう。
具体的行動によって、子どもだけでなく、家庭内全体で勉強に対する優先度を上げる必要があります(MAXにしろという意味ではありません)。
どういう行動が考えられるか。
中学生や高校生でいくつか例を挙げてみます。
まず部活。部活をやめて勉強に注ぎこめ、という話ではありません。むしろ、私は部活は「やりたい」なら(←ここ重要)積極的にやった方がいい、という意見。
部活が忙しいから塾には行っていない、テスト前しか勉強していない。
お子様がこういう状況であれば、まずそこから一歩勉強の優先度を高める。
具体的には、部活のOFF日に塾を組み込んで強制的に勉強に向かう時間を作る。塾に通うことによる成績向上という効果以上に、「親が金と時間を捻出してまで勉強を生活に組み込む」という部分の効果が大切になります(金の面は子どもは意識しないものですが汗)。保護者の方が特別に時間を取って勉強を見てあげてもいいですが、まあ肉親というのは様々な念が良くも悪くも入ります(最近痛烈に自覚)。信頼できる他者に任せた方が家庭内は平和になることが多いですね。
そして部活のある日でも、終わった後に塾の時間を組み込むようにしていく。部活があるから塾は休み、では両道とは言い難い。どちらも並行してこそです。
無論、体力が必要です。時間は有限。1日にやることを詰め込むと睡眠時間が減る危険もある。その場合はスマホを叩き割る等、優先度の低くなる行動を縮小したり切り捨てたり、というのも必要でしょう(スマホについては後日また書きます)。
子どもに勉強をしてほしいのであれば、口で言うよりまず環境を作ることで効果を期待しましょう(口で言うのが完全に無駄、というわけではありません。時々あえて言ってください、と保護者の方にお願いすることもあります)。
当塾で、「原則は週3コマから」「週4〜5コマが標準、可能なら週6コマ以上から通い放題」を勧めるのは、まあ一種利潤追求もありますが、それ以上に、生活の中での勉強の優先度を高める(親子ともども)というのが大きい面です。週2〜3コマ程度で十分なのは、普段から自分で勉強していて目標に向けてあと一歩なにかが足りない、くらいでしょうか。小学生の学校補習くらいであればなんとかなることもありますが、必然、「自分でやる」というキャパを易々と超えてくる「受験」というものに対しては通用しなくなってきますね。
中学生は「オール3」だと偏差値50の高校は厳しいのが実情なわけですからどうしても中1からしっかり取り組む姿勢を作る必要はありますし、推薦・総合型が半数を占める昨今の首都圏私大受験も日常の評定をきっちり確保するだけですら毎回7〜9科目の試験を相応の水準で得点する必要があるわけですから全く油断なりません。そういう中で、一般に資する実力をつけて進学してほしいものです。いわゆる「いいところ」に進学して終わり、ではなく、あくまでも進学することは先の人生の「はじめ」になるわけですから。
もうすぐ夏期講習の季節。保護者の方の覚悟、また気持ちが乗ってきた生徒たちのやる気に十二分に応えられる準備をしていきます。