オール「4」から東葛飾へ

(昔、個人ブログで書いたものをリライトした記事になります)

東葛飾高校は千葉県第3学区のトップ校である。

自由な校風、というのが真っ先に出てくる人も多いと思う。制服はなく、校則にうるさいこともなく、部活動に参加している生徒も多く、生徒たちが自主的に行事にも力を入れる、という学校。

それ故に、受験勉強とどう折り合いをつけながらやっていくかというのがポイントになる。非常にうまくやっている人もいるし、うまくいっていない人も相応にいるのが現状である。最近はだいぶ調子がいいのではないかなと思う。

中高一貫校になり、高校からの募集枠は激減している。入試倍率は今年度が1.82倍。普通科では一番倍率が高くなった。

さて、ここに入学するには、どれくらいの点数が必要なのか。

まず、千葉県の高校入試について超簡単に確認。地域連携アクティブスクール等は除き、多くの全日制普通科の選考基準は以下のような感じである(令和4年度版)。

5教科の筆記試験(500点)
+
調査書の得点(中1~3の合計135点)× K値
+
調査書記載事項(50点を上限として各校で設定)
+
学校設定検査(10~100点の幅で各校で設定、検査が2つの場合は計150点までで設定)

の合計点で選考する。K値は0.5~2の間で学校ごとに定める。

さて、ではここで取り上げる東葛飾高校はどうかというと、以下である(令和4年度版)。

  • 学力検査:500点満点(100点×5教科)
  • 調査書の得点:67.5点満点(K値=0.5)
  • 学校設定検査:48点満点(作文)
  • 合計:615.5点満点

作文はテーマに沿って自分で内容を考えて書くのだが、段階別評価なので、最低評価を取らぬようにきちんと構成を作って書ければよい。その練習をすれば済む話なので、ここでは標準的な評価を取れるという想定で、学力検査と調査書点に絞って考えてみる。

ちなみに、生徒会や部活、資格系の加点はない。これらは通常「調査書記載事項」で加点要素としてカウントするが、東葛飾高校ではこの部分の得点がないためである。

調査書の得点は、合計値を半分にするという計算であるので、3年間でオール「4」とすると合計が108点であるから、半分にして54点である。オール「5」の生徒と比較すると、13.5点の差があるということになる。実際には130点前後の受験生が多いため、ボリュームゾーンを65点と考えると、11点の差だ。

5教科の試験で、11点差をひっくり返せれば合格に近づくことができる。

合格者平均は公表されていないし、試験の難易度で多少前後するが、440点前後が例年のラインとデータからは推測されるので、450点を超えることが求められる。

千葉県の公立入試で450点オーバー、単純に割ると、1教科90点以上という感じである。

無理!と思いませんでしたか?

現実は県立千葉高校に合格する受験生は450点以上が珍しくはないので、計算上は取れる。

国語は作文を満点で持っていければ可能性はある。東葛飾独自の作文とは求めるものからだいぶ違うので、それぞれに練習は必要だ。
数学は当日時間内に解き切るのが難しいと思われる問題が1〜2問は出るが、裏を返すとそれ以外はきちんと勉強していれば取り切れる。ある意味、一番90点は計算しやすい。
英語で高得点を狙いにいくのはかなり難しくはなっているのだが、英検2級レベルで読み書きできれば基礎力は問題ないため、言い換え表現などライティング力を磨く方向性で学習をする。併願私立を考えると、英検2級については私は「ほぼマスト」と話をしているし、昨年合格した生徒もきっちりと2級合格して併願を固めている。
理科と社会は新課程の内容を必須として、満遍なく追い込んでいく。

さて、こう考えると、なんとなく取れそうな気はしてくる。

というのが「計算上の話」である。「机上の話」とも言える。

実際、頑張って勉強すれば9割ラインは可能な試験内容ではある。大阪C問題や埼玉の学校選択問題、都立の自校作成問題のように、「すごく難しい」と思われる設問はほとんど見られないため、その辺りに照準を定める同世代の受験生と同等クラスに詰められれば十分可能だ。

だが、ここで普段の成績が「4」というのが問題になる。

「4」という成績がついている場合、「学力的には高いが提出物は出さないし授業態度は悪い」ということもあるし、「学力的には平均ちょいだが意欲が高いと評価されている」こともある。

前者の生徒はそのあたりをきちんとして「5」を確保しろとなるし、学力的な素地があるのであれば鍛え方次第では9割ラインは狙える可能性はそれなりにある。

後者の生徒はどうだろうか。点数的には平均ちょい、模試で偏差値を出したら50〜55くらい。この学力の場合、模試の生点はそれぞれ50〜60点前後くらいなので、最低でも各教科30点は上げる必要がある。そうすると400点を超え、9割というのが現実味を帯びてくる。

無理!と思いませんでしたか?

確かに簡単ではない。いや、むしろとても大変。努力量はもちろんのこと、「質」も高めて積み重ねないと、限られた時間の中でそこまでのアップは難しい。

これまで、この域からチャレンジをした生徒は何人かいるが、正味1年間を切っている場合は9割ラインに届いた生徒が半数。もう半数の生徒は受験時に8割強というところ(当時は前期・後期制だったので、前期チャレンジして不合格)。2年間あれば途中の浮沈を計算に入れても、生徒自身の行きたい気持ちが強ければ可能性は結構ある(もちろん全員ではない)。

当然、学力自体は高まり、得点力も上がるので、そのままキープなら300点前後で進学していた生徒が、400点確保が必須の高校には進学している。高校入学時に目標には届かずとも、この爆上げの過程で「勉強すること」の何たるかを少しでも体得して、大学受験できっちり結果に結びつけた生徒もいる。

可能性は閉ざされていないし、仮に合格とならずとも、そこまで積み上げた学力・勉強に対する姿勢は決してなくなることなく、「3年後」に活かす事もできるのである。

努力量が必要と書いたが、闇雲に勉強してもなかなか難しいし、高倍率であるが故に不合格になる覚悟が必要で、併願私立をきっちり押さえることも考えると、公立入試では出題されないような問題も解ける力は必要である(併願推薦制度がない実力必須校を受けることになるので)。

故に進学塾で勉強を進める中学生は多いだろう。

当塾でも上記を踏まえた上での指導は行っている(そういう方向を望む生徒が来ればの話だが)。さらに言えば、大学受験を前提として指導を行うため、非常に細かい部分で「後日じわじわ効く」ことを仕込んでいる。

これまで指導してきた生徒がいなければ、上記の内容は全て机上の空論に過ぎない。

昔と違って調査書半分になっているから、これまでチャレンジしてきた教え子たちよりも可能性は広がっている気がしている。

まだ諦めていない方に少しでも参考になれば幸いである。

何度も言うが、簡単に書いているが相当大変である。指導する側としても相当腹を括らないといけない(寿命が縮む思いをする)。決して安易には考えず、しかし可能性を追いかけるのもまた生き方としてはありではないかと思う。

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