千葉県公立高校入試を終えて

今年度の公立高校入試が終わった。全体としては公立2次募集が残っているものの、当塾のたった一人の受験生はきっちり合格したので、塾としては終了。来年度に向けて動き始める。

当塾は2021年12月に開塾、しかも新年度まではチラシも出さずひっそり開始している(でかい看板掲げてそれはなかろうとも思うが)。タイミング的に受験生はいない予定であり、そのつもりでいたのだが、年明け、直前に、一名引き受けることになった。


受験の直前だけ「お勉強」というのは私の指導方針には反する。が、それ以上に、人はなにがきっかけで、いつどのようなタイミングで覚醒するかは分からない。受験というのは人生の一過程であって、それをきっかけにして、なにか意識が少しでも変わるかもしれない。それが客観的には「遅い」タイミングであったにせよ、80年を超えるであろう人生のまだ「はじめ」の時期なのだから、むしろ歓迎すべきことなのだろう。なにせ、得体の知れないピンク髪のおっさんの塾にお問い合わせいただいたという、それだけで感謝すべきことだ。笑

さて、しかしながら、受験直前、1月の終盤に体験授業からの1ヶ月もないという状態である。お引き受けするにしても、そこからの点数アップ、逆転合格というのは無理である。

受験予定校が定員割れをする可能性が高いこと(ここ数年は1倍を切っている)、内申点に「1」が付いていないこと、このあたりだけ確認させていただいて、あとは「審議の対象」にならないように安定させよう、という方向性で進めることにした。


千葉県では、公立高校は定員割れを起こしていたとしても不合格になる可能性がある。今年は見た限りだいぶ例年に比べれば少なかったものの、それでもなお不合格者は複数の学校で出ていたようだ。すなわち、この直前期に確実に合格にもっていくのが塾の第一の仕事とすれば、不合格になる可能性がある「審議の対象」を避けるのが最優先、その上で少しでも安定感のある点数を取れるように、ということになる。

「審議の対象」とはなにか。

各校ごとに定められた最低基準みたいなもので、もしこの項目に引っかかる場合、合格要件を満たしていても「本当に合格にしていい?」の話し合いが持たれる可能性がある。要項的には「慎重に~」とかなり柔らかく書いているが、合格が遠のく危険性が高いと踏んでいる。

たとえば、欠席日数の上限、「1」の有無、当日の学力検査の点数の最低ラインなどが項目に入っている。面接のC評価などもこの項目に入っていることが多い。

調査書で引っかかるかどうかは事前にわかる。「1」が付いていない確認をしたのはこれ。欠席日数も相当数でないと基準にはかからない。調査書をクリアしていたら、あとは当日勝負となる。

0点の教科がないこと―。

面接や自己表現は無難にこなせばB評価はもらえると計算すると、やはり学力検査で0点の教科がないようにすることが最優先となる。合計点がいかに高くても、やはりこの基準だけはクリアしなければならない。


さて、そこまでを踏まえて、体験授業から学力の確認。

……大変危険であることをその時に悟った。

数学は正負の数の計算から、英語は中1最初の英単語の練習からである。幸い、国語の読解はそれほど筋は悪くなかったので、漢字の読み書きで少しでも上積み、理科・社会は分野・単元を絞らざるを得なかったが、当初の方針に沿って、とにかく審議対象にはならないようにとして進めることにした。

普段は「学問とはこうあるべき」「学ぶとは…」と理想を言っていても、現実問題、今目の前のこの子が必要としていることはなにか。そしてこの子のこの先を考えた時に、今私ができるベストはなにかと考える。そうすると、どういう形にせよ、学ぶということを続けられる環境に身を置けるように、そういう意味では確実に受験は通ってもらわねばならない。

そんなこんなで約3週間、保護者の方にも相応のご負担をお願いして(※ココ重要)、頑張ってもらった。はっきり言うと、数学は放っておいたらまず0点(今年は選択2点の問題も消滅していたので運の要素もなかった)、英語も0点、理科社会も確実なヒットは1~2問程度くらいだろうか。英語・理科・社会はそれなりに選択問題も多いが、選択問題はだいたい適当ではヒットしないもの。実際、千葉の入試で0点を取る可能性が一番高いのは数学だと思うが、英語も全然分からないとなれば十分その危険性はある。そういう生徒も多く見てきているから、今年の問題ではその感が特に強く出ていると思った。

何をどうやったかはすべて企業秘密だが(無論大したことはしていない。誰もがやることを順番通りにやるだけ)、0点を取る可能性はあるまいという状態で本番の入試に臨むことはできた。数学と英語が難化していたのがよかったのか悪かったのかは分からないが……。国語・理科・社会も十分という点数ではないが、まずまず予定通り、最低限これくらい取ってくれれば、という点が取れたので良かったと思う。ちなみに、数学と英語の難化は予想済みだったので、まず確実に点が取れるであろう部分に力を注いだのは言うまでもない。

あとは、定員の中に志望者が収まっていたのが幸いではあった。競争になっていたらかなり怖かったと思う。数名オーバー程度なら競争でも十分に合格はできたと思うが、それは結果論であって、学習をスタートした段階でもしそうと分かっていたら胃が縮み上がっていたと思う。


もちろん、体裁のいいことばかりを言うつもりはない。「お勉強」に向かうと考えるとまだまだ課題は山積みであるし、直前だけというのは賛否両論はあるだろう。

だが、である。

この生徒が高校進学後、そして高校卒業後、どういう人生を歩むのかはこれから次第だが、どこかで勉強に本気で向き合う時期が来るかもしれない。そうなったときに、わずか数週間でもここでやったことがほんのわずかでも活きてくれればそれでよく、もっと言えば、私が手伝えることであって、まだ塾が存続しているのであれば、相談してもらっても頼ってもらってもいいのだと思う。今後の人生の可能性に少しでも寄与できていれば満足。そして何かあったときには相談くだされば嬉しいし、あわよくばご紹介などしていただければもっと嬉しいという下心もなくはないことを付記しておく。


うちは、社会人の方の学び直しもお引き受けしていて、きちんと料金設定もしてある(そこまで安価でないが、ご相談に応じて表には出していない個々のプランニングをしている)。

高卒で一旦社会に出たあと、あらためて大学受験を考えてもいいだろうし、野田市には野田看護専門学校があるのもポイントである。社会人比率が高く、学費が安く、優良と名高い看護の専門学校だ。ちなみに、寮もあるので、市民でなくとも看護師を目指すのなら選択肢としてはありだと思う。学び直して人生のルートを変える道筋は色々とあるので、高校生はもちろん、卒業後でも、学び直すお手伝いをさせていただければと思うのである。


最後に。

直前だけという人をいつでもお引き受けできるわけではありません。おそらく来年は無理である可能性は高いです。その時の塾長のキャパ次第。うちは少人数定員制なので、たとえば夏くらいまででキャパの限界が来たら、年度末までは入塾をお待ちいただく可能性もあります(そんな流行るとは思っていませんが一応)。

塾は早めから始めるのが吉です。特に、春先の比較的余裕のある時期(塾の先生が)に来てもらえると、学習の導入がとてもじっくり丁寧にできる。これが生徒にとって非常に大きいですからね。

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