Failure teaches success.
「失敗は成功のもと」とはよく言ったもので、失敗の積み重ねによって成功に辿り着くというのは一面の真理ではないでしょうか。
エラーを重ねることで、「何をどうすればダメなのか」という経験が蓄積されます。次に別角度からアプローチをし、またどこかで失敗をし、それを糧にまた新たな道を模索して……というのをやっていくと、その大きさにかかわらず、それなりの「成功」が見えてくるものです。
ここで問題になるのは、エラーをエラーとして学習し、同じエラーを起こさないようにどう行動するかという部分です。簡単そうに見えて、これが非常に難しい。学習能力もさることながら、克己心であるとか、自律の能力であるとか、「勉強」のイメージとは違って見えるであろう部分がきわめて重要な要素になります。
- また符号のミスをしてしまった。
- また同じ漢字を同じように間違えてしまった。
- 宿題をしなきゃと思っていたのにまたダラダラとスマホをいじってしまった。
- また夜ふかししたから午前中の授業はずっと寝てしまった。
- 痩せなきゃいけないのに夜中に二郎系をまた食べてしまった。
- 痩せなきゃいけないのにまたラーメン大盛りにライスをつけてしまった。
誰しも一度ならずこのような経験があるでしょう。こりゃ大人になっても難しい、人間として永遠の課題ではないでしょうか。「趣味ダイエット、特技リバウンド」みたいなお父さんお母さんもたくさんいるでしょう(先日体重がまた5kg戻っていました泣泣泣)。当然、私もできた人間ではないので、こういうのは現在進行形で課題としているところ。いわんや子どもたちをや。
ただ、学力を高める、成長するという点において、この「失敗から学ぶ」能力の向上は不可欠だと考えています。それが人生全てに適用できずとも、とりあえずは勉学という面において「トライ・アンド・エラー」がしっかり機能するようにしないと、なかなか学力というのは高まっていきません。
こういう能力は、もともと高い生徒もいます。たとえば、中学生で定期テスト450点超の生徒は、意識せずともこのへんの能力は高めなことが多いです。高くないとしても及第点くらいには備わっていることがほとんどです。ですが、多くの生徒にとっては非常に課題になっている能力でもあります。
定期テストの問題の多くは学校配布のワークから出題されます(特にうちの地域は)。1周目で全体の出来が6割位だとしても、間違えたものや分からなかったものはもちろん、正解していても明確な根拠を持てなかったものまで自分の中で明確にし、その「エラー」を克服するために頭の働かせ、時には反復演習を挟んで、2周、3周と取り組んで「エラー」をなくす。それで9割は軽く届きます。
これがですね、たとえばテスト前日に1周目を終えたとしましょうか。そうすると、そもそも「エラー」を克服するなんてできないんです。物理的時間がなさすぎる。なにが「エラー」なのかが分かりました!でテスト本番です。そりゃ点数は取れません。「私は◯◯ができません!」というのが分かっただけで解けるようにはなりませんから。
(処理能力が高い人は、付け焼き刃でもその短い時間で「エラー」処理をある程度できるので、いわゆる一夜漬けでもそれなりに点数は取れます。腹に落とし込むところまでやれないので次の日にはわりとすっからかんになっちゃいますが……)
早めに1周終えて「エラー」を克服するための時間を確保するのは大前提。この段階で、頭の働かせ方、すなわちどうやって記憶に残していくかという技術的な問題が鍵になってきます。もっとも、「エラー」が多ければ、3周目くらいまではまずは「質より量」、触れる回数を増やして言葉を脳に刻む、ということも多々あります。
ここで克己や自律という力が大事になってくるんですね。「分からない」「できない」「あやふや」という、自分の弱い部分を受け入れて見つめないといけません。特に、「あやふや」な部分をしっかりと受け入れて100%まで持っていくというのが難しい。自分に対して甘さを持っていると「正解しているしだいたい分かってる気がするからOK」にしがちです。そして、たいていの人間は自分には甘いものです。
自分に対して甘いところがあるのはいい(そこは誰しもあるところ)。ただ、この一点については甘さをなくす。「分からない」をなあなあにせず、きちんと突き詰める。そこのところが必要でしょう。
細かいことはまたいろいろとあるのですが、このようにして「エラー」を潰していって、ほぼ完璧に解けるようにする。人によっては3周で完璧かもしれないし、苦手な人なら5周しても10周してもなかなか完璧とはいかないでしょう。それでもしっかりその域まで達すれば点数には結びつきます。
勉強が苦手、という場合、そもそも1問あたり、1ページあたりを解いて答え確認をして不明点を潰して、という一連の流れが「遅い」です(一連の流れから何かが欠ける生徒もいれば、ひとつひとつの取り組みの精度が低い生徒もいますし、どちらもということも珍しくない)。スピードがなければそもそも物理的な時間の限界で周回はそれほどできず、精度がなければ何周しようともなかなかエラーの克服ができません。勉強が苦手という生徒は、こういうところに着目して鍛えを入れないとなかなか難しいのです。
ちゃらんぽらんにやっているようで、このような部分も当然に指導の一環として見ていますよというお話でした。
明日から冬期講習です。少しでも学力向上に資する冬になるように尽力していきます。